全ての団塊の世代が75歳になり
2025年問題が現実のものに
この団塊の世代の先頭集団(1947年生まれ)が75歳になったのが22年で、25年に全ての団塊の世代が75歳となる。75歳になると、医療や介護のニーズが高まるため、国は「2025年問題」として照準を合わせて医療や介護、福祉政策の見直しを行ってきた。その一つが、後期高齢者の医療費の窓口負担割合の見直しだ。
国民皆保険制度を取っている日本では、この国で暮らす全ての人に公的医療保険に加入することを義務づけている。74歳までは職業に応じた制度に加入するが、75歳になると全ての人が後期高齢者医療制度に移行する。
本来、「保険」は予測される保険事故にかかる費用を、その保険の加入者が少しずつ拠出することで成り立っている。だが、高齢になると主な収入は公的年金だけで、就労による収入増加は難しくなる。
こうした配慮から、後期高齢者医療制度の財源は、高齢者本人の保険料は10%のみので、国や地方の税金で50%を負担し、残りの40%は現役世代の公的医療保険が支援金として負担する構造になっている。
2023年度の後期高齢者医療制度の支出は17.8兆円。そのうち、後期高齢者全体の保険料収入は1.5兆円なのに対して、現役世代が負担した支援金は7.1兆円だ。この支援金を支払うために、現役世代の健康保険料は年々増加している。
人口のボリュームゾーンである団塊の世代が全て後期高齢者医療制度に移行したことで、今後益々、現役世代の負担は増えることが予想されている。そのため、全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合連合会(けんぽれん)など、現役世代の健康保険の利害を代表する団体は、現役世代の負担を抑えるために、高齢世代の負担増を求めてきた。
実際のところ、現在は「高齢者=弱者」とは必ずしも言えなくなっている。2023年度の金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」[2人以上世帯調査]によると、1世帯当たりの金融資産保有額の平均は、30歳代が856万円、40歳代が1236万円なのに対して、70歳代は2188万円。若い世代よりも高齢世帯のほうが、金融資産に余裕がある。







