80%近くが引き上げの影響なし
負担増の人も高額療養費は利用できる
2025年9月15日現在の75歳以上人口は約2124万人なので、対象になるのは後期高齢者の15%程度だ。この他に、現役並み所得者で3割負担している人が約7%いるが、残りの80%近くが1割負担なので今回の引き上げの影響はない。
今回、引き上げの対象となる2割負担の人も、医療費が高額になった場合の高額療養費はこれまで通りに利用できる。
25年10月現在、この所得区分の人の高額療養費の自己負担限度額は、外来(通院)が月額1万8000円。年間上限も設けられており、通院だけなら1年間にかかる医療費は最大でも一人14万4000円だ。入院した場合は、世帯単位で5万7600円になるが、70歳未満の現役世代に比べると、かなり医療費は抑えられている。
制度改正によって、これまでよりも医療費の自己負担が増える人がいるのは事実だが、大幅な負担増ではない。しかも引き上げの対象になったのは、比較的、年金収入が高い層の人たちだ。医療費の負担増が年間9000円程度なら、家計の見直しで吸収することも可能な金額ではないだろうか。
例えば、年会費を支払っているだけで、ほとんど使っていないクレジットカードやサブスクを解約したり、携帯電話のプランを見直したりするだけでも家計費を圧縮できる可能性がある。
「負担増」と聞くと不安になるが、まずは、制度改正の内容を正しく理解した上で、どのくらい増えそうなのかを確認し、家計防衛のための具体的な対策を考えるようにしたい。







