地元住民に大人気の「低温殺菌牛乳」写真はイメージです Photo:PIXTA

函館に地元住民の間で大人気の低温殺菌牛乳があった。それを自社ECサイトで販売したいと思った著者が牧場主においしさの理由を聞いたところ、本人は「分からない」という。牧場主ですら気づかなかった「おいしさの秘訣」に、時価総額1000億円企業の敏腕経営者である著者は、いかにしてたどり着いたのか。※本稿は、木下勝寿『戦わずして売る技術 クリック1つで市場を生み出す最強のWEBマーケティング術』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

地元住民に大人気の
とある「低温殺菌牛乳」

 良いUSP(Unique Selling Proposition/自社の商品やサービスが持つ、他社にはない独自の強みや価値)を生み出すには、商品周辺情報をどれだけ知っているかが重要だ。商品は最初からUSPとなりうるものが備わっているわけではない。商品の奥に潜んだUSPを発掘するのがマーケターの仕事だ。

 わかりやすい例として、私がある商品のリーズンUSP(本質的要素において他より優れていることの根拠)を生み出した時の話をする。

 北海道で特産品を扱うEコマース事業を開始したばかりの頃、函館で非常に人気を博していた、とある牛乳を取り扱いたいと考えた。

 その牛乳は「低温殺菌牛乳」と呼ばれる種類のものであり、スーパーやコンビニエンスストアで販売されているような高温で一気に処理する一般的な製法の牛乳とは異なり、時間をかけてじっくりと殺菌されるため、風味が損なわれず、牛乳本来の旨味が際立つ。しかしながら、賞味期限は短く、流通コストも嵩むという特性を持つ牛乳である。

 そのとある牛乳は、低温殺菌牛乳の中でも特に味が優れており、地元住民のリピーターが後を絶たないほどの人気商品であった。