回転寿司 勝者の条件#6Photo by Yoshihisa Wada

2015年に神明ホールディングス(HD)の子会社となった「魚べい」を展開するGenki Global Dining Concepts(旧元気寿司、GenkiGDC)。売上高では業界4位のかっぱ寿司に迫る勢いで、25年3月期には過去最高益を記録した。特集『回転寿司 勝者の条件』最終回では、GenkiGDC藤尾益造社長に逆転案について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 大日結貴)

課題は仕入れ力
国内調達を強化

――2025年4月に社長に就任されました。課題は何だと捉えていますか。

 業績が良い状態での交代でしたが、実は課題は多くあります。中でも仕入れの強化、サプライチェーンの構築を最重要課題として全力で取り組んでいます。あらゆる食材の価格が高騰している中でも、安定して調達できるように、新体制で調達力を強化していきます。

――貴社の親会社はコメ卸業者としては国内最大手である神明ホールディングス(HD)です。米の仕入れを強化していくということでしょうか。

 米に関しては神明HDと連携をしていきますが、むしろ米以外のネタについて、力を入れていきます。海外との買い負けや養殖産業の経営難などで、魚が日本に輸入されづらい状況が徐々に来ていますし、もう来ている魚種もある。そういった全般的に輸入に頼ってきた商品をどうやって国内で調達するかを考えています。

――どのように強化していくのでしょうか。

 私は商社で国内外の事業を経験して、その後に神明グループに入りました。神明でも仕入れおよび海外の事業立ち上げなどをやってきたので、それらの経験を生かしたいと思います。

――飽和しているといわれる国内回転寿司市場ですが、店舗展開についてはどのように考えていますか。

 まだまだ出店余地はあると考えています。飽和している感覚はあまりありません。むしろ、絶対に売り上げが取れるというと思える立地はまだ多く残されている気がします。その代わり慎重に場所を選んで出店を進めています。

内覧試食会の様子先日コンセプトストアとして発表された「GENKI SUSHI×魚べい上野店」。藤尾社長(中央左)も集客に自信をのぞかせる。 写真提供:Genki Global Dining Concepts

――売上高においてはまだ大手3社との差は大きい状況です。大手に追い付く具体的な戦略や中長期的なビジョンを教えてください。

 まず、大手3社の売り上げは追いかけていません。

売上をがむしゃらに追いかけることはしないと宣言する藤尾氏。では圧倒的な売り上げを誇る大手3社にどのように立ち向かっていくのか。次ページで、魚べいの、大手4強に迫る、逆転案についてさらに詳しく話を聞いた。