回転寿司 勝者の条件#3Photo by Yoshihisa Wada

数ある回転寿司チェーンの中で、グルメ系回転寿司は、各店舗に板前や経験を積んだ職人がおり、単価は上がるものの、人の手によって握られた寿司を提供することで差別化を図っている。低価格の回転寿司チェーンが市場を席巻する中で、どう生き残っていくのか。特集『回転寿司 勝者の条件』の#3では、グルメ系回転寿司最大手銚子丸の石井憲社長に話を聞いた。

銚子丸らしい店を追求
顧客体験向上を目指す

――回転寿司市場の現状をどう見ていますか。

 寿司を回転させなくなったり、機械化が進んでほとんどのお店がタッチパネルオーダーになったり、この数年で大きく変化したと感じています。それ自体は良いことだと思うのですが、一方で、店員とのやりとりや活気など、店内のライブ感がなくなっている点はちょっと懸念していますし、将来回転寿司業態そのものがどうなっていくのかなとは思っています。

――2025年5月に社長に就任しました。意気込みを聞かせてください。

 大学を卒業してから、一貫して外食ビジネスで経験を積んできました。さまざまな業態で仕事をしてきましたが、寿司に関わることが長かった経験を生かして、グルメ系回転寿司銚子丸のさらなる発展に寄与できると思っています。

――現状の課題は何だと認識していますか。

 銚子丸のスタイルをしっかり確立して、グルメ系回転寿司の中での立ち位置を明確にしていくことです。われわれは約90店舗を展開していますが、銚子丸らしい店をつくり上げた上で、企業としての売り上げや利益を確保していきたいと考えています。

――売上高を伸ばす施策はどのように考えているのでしょうか。

 売り上げを伸ばす施策はさまざまあります。店舗数を増やして事業規模を拡大させる方法もありますし、価格改定によって平均客単価を上げて、売上高を伸ばす方法もあります。

 しかし、価格改定で値上げすれば、どうしても客数は減ってしまいます。そうした施策よりも、銚子丸らしいサービスを磨き上げて、顧客体験の向上を図りたいと考えています。そうすれば、客単価のみならず、客数も伸ばしながらしっかり売上高を伸ばすことができると考えています。

――回転寿司業界で勝つためには、何が必要でしょうか。

客単価が高い分、顧客体験に重きを置く銚子丸。市場で勝ち抜くためには客数を伸ばし売り上げを確保することが重要だと石井社長は語る。低価格寿司による市場の寡占化が加速する中、どのようにして生き残りを図るのか。次ページで詳しく話を聞いた。