「官」では、24年8月に第21代最高裁判所長官に就いた今崎幸彦がいる。京大法学部卒で、在学中に司法試験に合格、刑事裁判官としてキャリアを積んできた。司法行政を担う最高裁事務総局の中枢を歩み続け、裁判員裁判の制度設計にも携わった。

 伊原義徳は科学技術事務次官のあと日本原子力学会会長などを歴任し、原子力行政に深くかかわった。

 野田健は、警視総監のあと内閣危機管理監を務めた。

 テレビ記者出身の根本かおるは、東京国連広報センター所長だ。

 石川雅恵(かえ)は国連人口基金資金調達官を経て、UNウィメン日本事務所所長などを務めた。

 通産省出身の弁護士・佐野忠克は、細川護煕首相(東京・私立学習院高等科卒)の事務担当秘書官を、また鳩山由紀夫首相(都立小石川高校卒)の政務担当秘書官を務めた。

かつての京大合格者数と比べて
最近の進学実績が低迷している背景

 神戸高校は、普通科8クラス、総合理学科1クラスからなり、全校生徒1000人を超える大規模な高校だ。

 勉学では、「課題研究」や「神高探究」に取り組み、文部科学省から2004年度から5期20年にわたりSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受けてきた。

 2025年春の大学入試(25年4月入学)では、現役、浪人合わせた合格者は東京大3人、京都大25人、大阪大30人、神戸大53人、兵庫県立大30人、大阪公立大28人、北海道大13人、名古屋大4人などだ。

 このうち現役だけの国公立大合格者は184人。25年3月の卒業生数は353人だったので、その比率は52%だった。

 私立大については延べ人数で、関西学院大168人、同志社大、立命館大に各118人が合格している。

 神戸高校は伝統的に東大よりも京大を選択・受験する生徒が多いが、京大合格者は毎年度、30人前後にとどまっている。東大合格者は数人だ。往時は京大ベスト10に入る常連校だった。例えば1968年などは、京大に69人の合格者を出して全国4位だった。だからこそ全国ブランドになっていた。それと比べると、最近の進学実績は低迷している。

 背景は、はっきりしている。灘高校(神戸市東灘区)、甲陽学院高校(西宮市)など兵庫県内にある6年制中高一貫の私立校に優秀な生徒が吸引されているのだ。それに小学区制という大きなハンディもある。

 ただ、小学区制で学区内に居住する中学生の人数が少ないことを考慮すると、それなりに健闘している、とはいえる。兵庫県の公立高校では、東大、京大、大阪大、神戸大の4大学合計の合格者数が進学実績の指標となっているが、神戸高校は毎年度100人以上で、長田高校、姫路西高校などの県内の有力公立高校と拮抗(きっこう)しているのだ。