すると、「何のために働くのか」という問いへの答えが変わり、日々の仕事への向き合い方や、転職、独立といった重要な選択の評価基準が変わっていくのです。

 たとえば、あなたにとってキャリアが「自分の才能を活かして社会に貢献する機会」と再定義されれば、肩書きや収入だけでなく、「自分の強みを最大限に発揮できるか」「誰かの役に立てるか」という視点から仕事を選ぶようになるでしょう。

 あなたにとってキャリアが「人生のさまざまな時期に応じて形を変える成長の道筋」と再定義されれば、「育児との両立」も「独立」も「転職」も、それぞれの時期に応じた成長の形として前向きにとらえられるようになります。

 そうすれば、「キャリアの中断」という概念自体が消え、人生の各段階での選択に悩む必要がなくなるのです。

 キャリアを再定義すると、「正しいキャリアパス」という幻想から解放され、自分自身の価値観に基づいた選択ができるようになります。

「この仕事は私の定義するキャリアに沿っているか?」と問いかけるだけで、複雑に思えた選択が驚くほどクリアになっていくでしょう。

転職や育休だって
成長のための大切な機会

 選択思考で考え、私は「キャリア」を「経年変化への熱狂」と再定義し、「キャー・イヤー」という新しいコンセプトを作りました。

「キャリア」という言葉には社会的成功や段階的な成長といったイメージがあり、多くの人は積み重ねた経験や肩書きを失わないよう、道を外れないよう、慎重に、そして必死に前進しようとします。

 しかし、「キャー・イヤー」においては、異なる業界に挑戦するといった選択はもちろんのこと、仕事を中断して育児や介護に専念する、留学や旅行に出るといったこともすべて、新たな経験や視点をもたらす貴重な機会としてとらえられます。

 また、50代での起業、60代での学び直し、70代での新たな趣味の探求など、年齢に関係なく新たな挑戦や変化を楽しむことを重視し、複数の職業を同時に持ったり、季節ごとに仕事を変えたりといった多様な働き方や生き方も肯定します。