報酬の低さやリスクを
深く考えなくてもいい
「小説家になりたいけど、稼げないですよね?」なんて言う人がいますが、「稼げないなら、やらない」なら、ほんとうにやりたいことではないのかもしれません。
最初から仕事にしたいという気持ちは、痛いほどわかります。
しかし、その発想にとらわれると、自分でもびっくりするような可能性を発見する機会を逃してしまうでしょう。
「好き」や「やりたいこと」は、「見つける」のではなく、「育む」もの。そのためにはいろいろ試す必要があって、それでも出逢えないこともあります。
だから、「稼げても稼げなくても、一丁やってみますか」というくらいの遊び感覚のスタンスがいいのです。人生はやりたいことをするためにあるのですから。
恋愛と同じで「この人だ!」と心惹かれる人に出逢えることは、それほど多くないでしょう。もし出逢えたら幸運。大切に育んで、続いていくように自分自身で“正解”にする必要があるのです。
個人でオファーされる仕事と報酬は、案外、釣り合っているとも実感します。
会社員だと、仕事ができる人も、できない人も同じ給料ということがあります。
しかし、個人に対する報酬は、それなり。一流の料理人と、経験の浅い料理人、まずい料理人の一皿の単価が違うように、「いま、どれだけ人を喜ばせられるか」がすべて。単に美味しさだけでなく、ニーズや知名度、時代の流れも左右します。
『肩書がなくても選ばれる人になる 幸せな働き方がつづく45のヒント』(有川真由美、ワン・パブリッシング)
報酬が低いなら、クライアントから見てなにかが足りないのでしょう。
なかには「もっと高くもらっていい実力なのに」という仕事人もいますが、そんな人は尊敬や発言力、つぎの仕事など、目に見えない別の報酬を得ているのです。
じつは、この“つぎの仕事”こそ、いちばんの報酬。「またお願い」とオファーされ続けることが、長期にわたってトータルで大きな利益を生むわけです。
好きな仕事でも、稼げる仕事でも、大切なのは本人が納得していることです。
人生はやりたいことをするためにあります。「どんな人生にしたいのか」「どんな人になりたいのか」という広い視点で考えることも選択のヒントになるはずです。







