まず、センチュリーのブランド化で、高級車として直接重複するレクサスブランドについて。

 かつてレクサスは、ヨーロッパのプレミアムブランドへの対抗として立ち上がったものだが、豊田会長は「欧州勢を追ってきたレクサスだが、原点に返り模倣を改善させて革新にする」ことを求めた。センチュリーがフラグシップブランドとなることで、今後のレクサスの方向性は、「発見する」「誰の真似もしない」というコンセプト通り、より思い切ったチャレンジが期待されるブランドとなる。

 高級車ブランドをセンチュリーとレクサスですみ分ける一方で、トヨタブランドは、従来のフルラインアップ・マルチパスウェイのボリュームゾーンを任せられる。トヨタブランドの新コピー「TO YOU」には、世界のトヨタユーザー一人一人に届けるという意味合いが込められており、新CMでも「あなためがけて」というキーフレーズが強調された。

 GRブランドは、モータースポーツへの挑戦を通じて走りの楽しさを追求する。ほかのブランドはJMSでその詳細が明らかにされる予定だが、GRはあえて今回のJMSへの出展を見送り、来年初めに開かれる「東京オートサロン」での展開を見据えているという。豊田会長も「私が年末にワールドプレミアをやるので、そこまで待って」と放送中に明かすなど、今回は断片的な情報開示で今後の期待をにおわせた。

 ダイハツブランドは五つの中で唯一ルーツが異なるが、単なる子会社ブランドではなく、オールトヨタの一ブランドとしての位置付けを明確にする。豊田会長は新CMの作成に当たって、「“おもろい”ダイハツを復権させて」というテーマを提示したという。ダイハツ工業は、日本の自動車メーカーで最古の歴史を持ち、大阪に本社を置く。「関西らしさにこだわってほしいし、トヨタの100%子会社ではあるがダイハツが持っている『トヨタには近づかない』という『遠心力』は応援したい」と章男会長は放送内で語っているほか、その後、別のイベントでダイハツの「マスタードライバー」にも就任するなど、ダイハツへの期待は大きいものがあるといえそうだ。