ブリヂストン リストラ後の跳躍#6Photo:Marin Tomas/gettyimages

ブリヂストンが、トヨタや日産、ホンダなど自動車メーカーに納める新車用タイヤは、商品やエリアによっては、赤字もあるほど低収益な製品だ。一体なぜか。実は、ブリヂストンの新車用タイヤの販売数は急減している。特集『ブリヂストン リストラ後の跳躍』の#6では、自動車メーカーへの取材などを基に、新車用タイヤが低収益になる理由を明らかにする。2030年度の目標として掲げる「調整後営業利益率15%」の達成は、交換用タイヤの強化に懸かっているようだ。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

タイヤメーカーは、新車用は利益度外視!?
では、タイヤを発注する自動車メーカーの“本音”は?

「新車メーカー向けビジネスは(収益性が)厳しい。新車用と交換用の市販用タイヤの比率は3:7だ。3割の新車向けは厳しいため、7割の市販用で利益を上げている」。石橋秀一・ブリヂストンCEO(最高経営責任者)は、こう明かす――。

 タイヤメーカーには、主に二つのビジネスモデルがある。

 一つは、新車用タイヤだ。国内ではトヨタ自動車や日産自動車、海外ではドイツのフォルクスワーゲン、BMWなどの自動車メーカーに納める。

 もう一つが、交換用タイヤだ。消費者が新車を購入して、3~4年経過すると、タイヤがすり減り、交換する必要が出てくる。販売チャネルとしては、オートバックスやイエローハットなどの総合カー用品店や、ブリヂストン系小売店のタイヤ館などが該当する。

 二つのタイヤビジネスのうち、新車用は低収益だ。あるアナリストが「新車向けは、赤字の地域や商品もある」と語るように、ブリヂストンも例外ではない。例えば、2024年度第3四半期決算資料内では、「北米において、乗用車新車用タイヤの赤字幅が拡大」との内容が記されている。

 なぜ、新車用タイヤは、赤字もあるほど低収益なのか――。

 次ページ以降では、ブリヂストンの新車用タイヤを採用している自動車メーカーへの取材などを基に、その理由を明らかにする。取材を進める中で、ブリヂストンの新車用タイヤの販売数量が急減していることも判明した。その理由とは。