過去の戦争ほど有利に進まず、長期化のなかで反戦運動が活発化する。ベトナム戦争末期の70年代に軍から大学への研究予算は減少し、政府の研究予算における軍の割合は80年代後半にピークを迎え、絶対額は2009年以降下落傾向にある。
ガザへのアメリカ関与に
Z世代が抱いている違和感
そしてZ世代はリアルな戦争を知らずに育った。むろんアメリカは世界のどこかで戦争に関与し続けてきたものの(そもそもガザの前年にもウクライナ戦争が起きている)、Z世代にとって23年のガザがはじめて見る「リアルな」戦争だったそうだ。
Z世代の学生が「ガザで行われていることは戦争犯罪ではないのか」と指摘したと報道されている。こうした発言が生まれる構造は十分に理解できる。Z世代は「戦勝神話」を肌感覚でリアルに共有できていない。SNSを覗けば、凄惨な現場の映像や反戦派の意見に出会うこともあろう。暴力はいけないとも習っているはずだ。「よくわからないけど犯罪だから取り締まっては?」という意見が出ることは想像に難くない。
現在のアメリカのZ世代は「戦勝」という、強弱はあれど戦後を通じて一貫して存在したはずの神話を喪失しつつあるのだ。ウクライナ戦争も思ったように事態が進まず、トランプ政権は自国の負担を減らす意思を明確に示している。戦争みたいにお金がかかり被害の大きいことを他国のためにしていられないわけだ。
トランプ政権のスローガン“Make America Great Again.”には、そしてZ世代が注目される背景には、それなりに切実な経緯があるのだ。
このようなアメリカの話をすると、だいたいの若者はほえ~と納得して話を聞いてくれる。日本にいれば持たない感覚でも理解はできるようだ。そして日本にそういう神話ってあるかな?信じられるものがあるかな?と訊くと答えは芳しくない。







