昭和レトロ写真はイメージです Photo:PIXTA

令和の今、昭和のレトロ家電が人気をあつめています。昭和時代を過ごした大人たちが懐かしさから手に取るのは分かりますが、昭和を知らないZ世代にも刺さるのはなぜでしょうか。今回は、7つの「高売れキーワード」の中から「レトロエモい」について紹介します。

※本稿は、川上徹也『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

昭和のかおりがするレトロ家電が大ヒット

 昭和時代を過ごしたことがある方にとっては逆に衝撃的かもしれませんが、今、昭和レトロ風の家電が復刻されて大ヒットしています。昭和を知らない世代にとっては「レトロエモい」と思うようです。

 象印マホービンの「象印復刻花柄シリーズ」は、まさに昭和の食卓に置かれていた花柄ポットを復刻販売したものです。花柄ポットは、もともと1967年に発売され、食卓が華やかになるという魅力で爆発的にヒットします。ピーク時の1981年には、なんと年間約2000万本売れたこともあるそうです。

 復刻版販売のきっかけは、パソコンやスマホの壁紙用コンテンツで、昔のポットの花柄を提供したことでした。それがSNSで話題を集め、「かわいい」「復刻してほしい」といった声が届くようになりました。

 そこで復刻版の発売を企画。2020年11月にオープンした直販ECサイト「象印ダイレクト」に限定商品として「象印復刻花柄シリーズ」を3種発売しました。昭和世代からは「懐かしい」という声が、若者からは「花柄がかわいい」と、デザイン性を評価する声が多かったといいます。

 それが翌2021年7月に「象印さん、話が分かる。昭和のデザインで今の機能性の物がほしかったの!」というツイートがバズったことから注文が殺到。なんと1日でECサイトの月平均受注数を超える注文があったとのことです。その後も復刻版の「花柄ポット」は安定的な人気を獲得し続け、幅広い年齢層に支持されています。

 続いてご紹介する小泉成器の「ミニ扇風機」は、まさに昔懐かしいレトロな青い羽根の扇風機。風量ボタンは大きく、弱・中・強の3段階。ボタンを押すと昭和の扇風機さながら「カチッ」と音がします。最大180分の切タイマーはつまみの形をしていて回すと「ジリジリ」と音がします。自動首振りの調整は後ろのつまみを引く設定。いずれもザ・昭和な扇風機の特徴です。

 ただサイズは高さ約40センチとミニサイズなので、足元やデスク周り、卓上で使いやすいのが新しいポイントと言えるかもしれません。価格は6980円(税込)と特別安いわけではありませんが、2023年5月に発売されるやいなや、SNSを中心に話題が沸騰しました。同社の他の商品と比べると、2倍ほどのペースで売れているそうです。