市販の無塩トマトジュースで
チェックするのが手軽
食塩水を作って飲んでみる方法が確実なのだが、堀氏は「市販の無塩トマトジュースでチェックするのが手軽」と言う。飲むだけなので、たった2秒でチェックできる。
「トマト自体にナトリウム(塩分)があるので、食塩無添加のトマトジュースには自然な塩味があります。これを飲んで『全然味がしない』『著しくおいしくない』と感じるなら、日常の食生活が相当濃い味を好んでいる可能性が高いです」
味覚は慣れの部分が大きく、薄いと感じる料理も、2週間がたつ頃には「気にならなくなる」という。時々無塩トマトジュースを利用して、正しい味覚センサーを維持したい。
しかし何らかの理由で体内の亜鉛が欠乏し、食べものの味を感じにくくなる「味覚異常」を起こしていると深刻だ。
望月氏によると「亜鉛の摂取不足をはじめ、糖尿病や腎臓病などの全身疾患、ドライマウスなどの口腔(こうくう)疾患、心因性ストレス、鉄欠乏性貧血などが原因で→亜鉛の吸収不良や排泄(はいせつ)増加などが起きる→亜鉛欠乏→味覚異常になりやすい」という。
亜鉛欠乏は
高血圧、動脈硬化を招く恐れ
「亜鉛欠乏は高血圧を招き、同時に尿中ナトリウム排出力が低下します。体内にナトリウムをためてしまうことに亜鉛欠乏が関与しているということです。味覚異常によって摂取する味が濃いこと(高塩分)と合わせて、体内の塩分濃度が上がり、それを薄めようと水分をため込むため血液量が増えて、血管を強く押して血圧が上昇、高血圧、動脈硬化を招く恐れがあります。
実際に2型糖尿病や慢性腎臓病などの患者さんでは、亜鉛欠乏がよくみられ、高血圧や慢性腎臓病を悪化させることがわかっています。亜鉛は、腎臓でのナトリウム排泄(はいせつ)や血圧調節に重要な役割をもっているのです」
また亜鉛は細胞の新陳代謝に関わる酵素の必須成分でもあるため、
そこで疾患をもつ人ではなく、特に健常者で気を付けるべきは、亜鉛の「排出」だ。
「体内で亜鉛が不足しやすい人は、お酒を飲みすぎる人です。水を飲んでも亜鉛は出ていきませんが、アルコールを飲むと尿と一緒に亜鉛が排出されやすいんですね。亜鉛が欠乏すると疲れやすくもなりますから、最近何となくだるかったり、ものがおいしく感じないようなら、アルコールの摂取量を控えたほうがいいでしょう」(堀氏)







