なぜ「ぜんぜん違う3台」が選ばれたの?「今年のカーオブザイヤー」の選考にモヤモヤする理由SUBARU「フォレスター」

年末が近づき、「カーオブザイヤー」が発表されている。実は、今は主に3団体による同賞があることをご存じだろうか。10年近く選考委員を務めたこともある筆者が、カーオブザイヤーの内情を明かそう。(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)

カーオブザイヤーの謎
2025年を代表するクルマは3車種ある

 12月4日、「2025-2026日本カー・オブ・ザ・イヤー」にSUBARUの「フォレスター」が決定した。6代目となる新型フォレスターは、SUBARUが独自開発した水平対向エンジンと、トヨタ自動車から供給を受けたハイブリッド機構を組み合わせた「ストロングハイブリッド」が特徴だ。燃費性能と走りの楽しさを両立する環境エンジンが、高い評価を受けた。

 主催者の日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会(JCOTY)は、ノミネートされた国内外の新型車35台から、まず「10ベストカー」(今回は国産車6台、輸入車4台)を選出。そして最終選考が行われ、フォレスターとホンダ・プレリュードが接戦の結果、フォレスターが栄冠に輝いた。

 ところで勘違いされやすいのだが、「2025年を代表するクルマはスバルのフォレスターで決まり!」かというと、そうでもない。

 実は、一口にカーオブザイヤーイヤーといっても、JCOTYによるものと、NPO法人の日本自動車殿堂(JAHFA)によるもの、NPO法人の日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)によるもの、主に3つのカーオブザイヤーイヤーがある。

 自動車雑誌の最盛期であった1980年代後半~90年代前半は、各媒体がそれぞれ選ぶ“カーオブザイヤー氾濫期”もあったが、現在はこの3つで落ち着いている。

 JAHFA は11月5日にホンダの軽EV「N-ONE e:」を、RJCは11月11日に日産自動車と三菱自動車の共同開発車「ルークス/eKスペース・デリカミニ」をカーオブザイヤーに選出し発表している。

 つまり、2025年を代表するクルマは3車種あるということだ。一体なぜ、こういうことになるのか。