その方向に進むことが、お互いにとってメリットがあり、合理性があると受け止めてもらえれば、最高です。

 とはいえ、そもそも利害関係がある相手にとって"不利益"のある話をしようとしているわけですから、そんなに簡単にはいきません。

 そこで、ポイントとなるのは「大目的をそろえる」ことです。

「世界は平和な方がいい」
視点を“一段上”にする

 多くの場合、いくら目の前では対立していても、一段上の目線・一つ上の視座で物事を眺めれば、似たような結論に至るものです。

 コンサル時代の大先輩が冗談っぽく言っていた台詞に、「世界は平和な方がいい」というものがあります。

 宗教や、経済的な環境などのさまざまな事情によって、いろいろな考え方があるのが普通です。しかし、どういう状況であっても「どんどん戦争した方がいい」と思っている人はいません。

「世界平和」という大きな目的を提示した際に、それに反対する人はいない、というお話です。

 この言葉に基づけば、全ての行動は、「世界平和の方向に向いているかどうか」で判断すれば良くなります。

 もちろん、「世界平和」は極端な例ですが、実際の場面でも大きな目的がそろえば、細かい部分のズレはお互いに飲み込みやすいのです。

 例えば、「新しいマーケティングキャンペーンをやるべきかどうか」について、さまざまな意見が出たとします。

「これまで通りのA案をやりたい」という人と、「新しい業者さんにお願いして、従来とは異なるキャンペーンB案にトライしたい」という人の意見が対立していたとしましょう。

 過去にA案を担当していた人からすれば、同じやり方のほうが安心感があるでしょうし、そのやり方にこだわりを持っているかもしれません。

 しかし、「本当にお客様のために最適なのか」とか「そのキャンペーンをやり続けて、売り上げが伸びていくのか」という “一段上”の視点の話をすると、A案にこだわるのではなく「AとBのどちらが良いのか」という話をするべきだと気づけるはずです。