子どもたちの学習の進度を見ながら、つまずいているところを克服できるように、よかれと思って5年生の子に2年生対象の問題を渡したのです。
しかし、そういったアプローチでは子どもたちは乗り気になりませんでした。その子たちの視点でよくよく考えてみると、「お兄さんお姉さんのような人がきてくれた。せっかくだから仲良くしたいし、いいところを見せたい」という思いを持っていたのでしょう。
パズル問題を楽しんだ子たちが
起こした驚きの行動
でも、私のアプローチでは、「できない自分」を見せつづけることになる、という体験だったのではないかと気がつきました。そのような状況だったので、勉強は進まない。なかには、失敗することを怖がって、確率ゲームのじゃんけんですら「絶対負けちゃうから」と思っていたのか、やりたがらないような子もいました。
その時間は、実際に勉強する時間にもなっていませんでした。そこで、「何もしないよりかはマシか」という感覚で、私は、自作のパズル問題を作り、子どもたちに持っていくことにしたのです。
現在の「シンクシンク」につながるような問題であり、「何年生対象」という表記もなく、言葉の理解や知識はほとんど必要ありません。
ゲームのように手を動かし、小さな「わかった!」感覚からはじめられ、試行錯誤していくと答えがわかるようになる問題です。
その問題に取りかかると、子どもたちの様子がしだいに変わっていきました。
「預かっていた1時間半、存分に楽しんでもらうぞ!」という気持ちで、十分な量の教材を準備していたつもりが、前のめりになった子どもたちの取り組みは、私の想定を超えていくようになりました。
数カ月が経つと、30分ほど時間を残して、私が用意したものを全部解ききってしまう子が続出しました。「あちゃー全部クリアされてしまった!もう降参だ!」と素直につぶやきました。
そうすると、教室から自分の部屋に戻る子が出てきました。「あれ、帰っちゃうのかな、そういうこともあるか」と思っていたところ、驚いたことに、彼らは、学校の宿題や漢字ドリルを持ってきて、「これ一緒にやろうよ」と言ってきたのです。







