以前、やらせようとしても、全然意欲を持ってもらえなかったことに対して、自分から「やりたい」と言い出すようになったのです。心底驚きました。
いつの間にかその場は、私が持っていった教材が終わった後は、それぞれの宿題などに取り組む場になっていきました。
その後、「成績が上がりました」「学校の授業についていけるようになりました」と施設の方からの報告も受けるようになっていったのです。
この一連の体験は、子どもにとって、「学ぶ場」や「学ぶこと自体が楽しい」ということがまず先にあって、知識やスキルは、その後自然に身についてくるものだ、ということを私に教えてくれました。
フィリピンの子どもたちが
見せた「顕著な反応」
その後、フィリピンの孤児院や小学校で教材として「シンクシンク」を提供する機会でも、同様の体験がありました。そこで目にした子どもたちの反応は、日本の子どもたちよりももっと顕著なものでした。
子どもたちには、タブレットを配り、操作方法は一切教えず、ただ「問題を解けたら喜んでもいいよ!」とだけ伝えました。
言葉の壁を越えて、子どもたちはシンクシンクに夢中になっていきました。
問題が解けると、まるで宝物を見つけたかのように飛び跳ねて喜び、「ああ!」「おお!」と歓声を上げる光景に、現地のスタッフまでもが思わず笑顔になってしまいました。
自分なりに「わかった!」という感覚があって喜ぶ。
そして、自然と学ぶことが楽しくなる。
そういった体験からはじまって、結果的に学ぶ力が伸びていく。
そんな構造があるように感じられたのです。
カンボジアの実証実験では
成績・IQ・非認知能力が向上
シンクシンクが多くの子どもにとって楽しい体験になることはわかってきました。
では、学力に影響するのでしょうか。
多くの人に利用してもらううえで説明が必要だと感じ、「シンクシンク」を利用した実証実験を行いました。
この実証実験は、ベストセラー『「学力」の経済学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)で有名な慶應義塾大学の中室牧子教授、JICA、カンボジア政府の協力のもと行われました。







