絶叫マシンに乗る男女写真はイメージです Photo:PIXTA

怖いのに、なぜか観たくなるホラー映画。「二度と乗らない」と言いながら、また並んでしまう絶叫マシン。わたしたちはなぜ、「恐怖」をわざわざ体験したくなるのか?その裏には、人間の本能を刺激して「欲しい」を生み出す仕掛けが隠されていた。※本稿は、石津智大『泣ける消費 人はモノではなく「感情」を買っている』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。

「欲しい」を作るには
「心の動き」が鍵となる

 ホラー映画やバンジージャンプ、絶叫アトラクション。「恐怖」を売り物にしている商品やコンテンツは、世の中に溢れています。

 それらを体験するとき、わたしたちはキャーキャー言いながら、明らかに楽しんでいます。

 でもよく考えてみると、不思議に思いませんか?なぜ人はわざわざお金を払って怖い思いをするのでしょうか?

「怖い」と「ほしい」は、一見するとまったく逆の感情です。「怖い」気持ちは、ふつうなら好ましいものとは思えないでしょう。

 しかし、ホラーを中心とした「恐怖×消費」の分野は、常に高い人気を集めています。

 これは、「ほしい」という感情が、単なる「好き」だけでは説明しきれないことを示しています。

 実は、「ほしい」という感情は、好きかどうかにかかわらず、「心が動きそう」と思ったときに生み出されるのです。

 ここからは「人はなぜホラーを観たがるのか?」という問いを入り口にして、「ほしい」がどうやって生まれるのか、その仕組みを解き明かしていきます。

 本稿を通して、「ほしい」をどう作るかが腑に落ち、人を惹きつけるためにやるべきことが見えてくるはずです。