キャッチボールで言えば、すべて「うん」と満足そうにうなずいてからであれば、どんなボールを投げ返してもOKということ。クセにしてしまうといいでしょう。
言った言わない論争は
早口で話すのが原因
×「明日の会議資料、田中さんに送って。あと、佐藤さんからのフィードバックも反映しておいて。イベントの件、どうなってる?返事まだ?」(追いつかない……)
×「出張のチケット取った?まだ?急いでね。あとは備品のチェックと招待者リストか。ゲストの控え室は?お土産は?」(待って……)
よく口が回り、早口で話す人がいます。
脳内に言いたいことが次々と浮かんでくるので、思いついた順に、整理せず機関銃のように話す。正直、相手が理解できているかはお構いなしです。
相手としては、ついていくのが大変です。
「理解するスピードが追いつかない」と慌ててしまいますし、「情報が詰め込まれ過ぎていてどれが大事かよくわからない」と混乱してしまうことに。もちろん「言った、言わない」の事故も増えるでしょう。
キャッチボールで言えば、速すぎるテンポで次々にボールを投げつけるようなもの。相手としてはせわしないし、捕れないしで、下手するとケガをしかねません。
抑揚をつけながら
ゆっくり話すことを意識
○「いま平気?会議資料、田中さんにも展開しておいてくれる?」(オッケーです)
○「出張のチケットって取ってくれた?まだだったら私取るけど」(助かります!)
会話IQが高い人ほど、ゆっくりと話します。
伝えたいことがないわけではありません。早口の人と同じように、たくさんのことが脳内にあふれるのですが、そのまま垂れ流すことをしないのです。
どのメッセージを優先すべきかを取捨選択。なおかつ、相手がどういう状況にあるか見定めて最適な方法で、確実にじっくり伝える。相手が理解できているかを、都度確認しながら……。
これら一連の処理を瞬時にできるのが、会話IQの高さです。
昨今、人々が動画を見る機会は爆発的に増えました。
そこに詰め込まれた情報量は、静止画やテキストの何千倍、何万倍。それに伴い、見る側の情報処理能力が格段に上がったかというとそんなことはありません。人はそんなに早く進化しないのです。
『本当に頭がいい人の話し方 会話IQ』(五百田達成、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
なのでほとんどの動画には、「ここが大事ですよ」と言わんばかりに、テロップと効果音がつけられています。そのおかげで、ボーッと眺めていてもなんとなく内容がわかる。
もはやテロップなしの動画なんて見てられないことを考えると、人の情報処理能力はむしろ退化しているかもしれません。
普段の会話も同様です。
たいていの人はボーッと聞いているのですから、伝えたいことを絞り、ゆっくりと抑揚をつけて話すことが大事。
1球1球、じっくりと丁寧に投げながら、お互いにとって心地よいテンポを探っていく。
これが上手なキャッチボールです。







