クマの暮らしのルーティン
1日の行動&四季の変化

 温帯や寒帯に生息するクマは、日中に活動し、日が沈んで暗くなると静かに休むのが基本です。ただし1日の活動は、季節に寄り添って少しずつ変化していきます。

 冬眠から覚めたクマは、春は新葉や花、昆虫などを食べて体力回復に努め、夏になると涼しい時間帯に果実や昆虫を探して森のなかを歩き回ります。そして秋に木の実やドングリをたっぷり食べて脂肪を蓄えると、冬は巣穴にこもって冬眠するのです。母グマはこの冬眠の時期に子グマを産み、四季の移り変わりに身をゆだねて暮らしています。

 とはいえ、自然のなかでの暮らしは一様ではなく、環境に応じて行動を変化させないと生き延びることができません。

 たとえば、東南アジアにマレーグマというクマの仲間がいます。クマはもともと昼間に活動する昼行性の動物。しかし、暑い地域に暮らす彼らは、太陽の昇る昼間を避けて夜間に活動することがあるのです。つまり、環境によって生活スタイルを変えているのですが、人の多い土地にすむクマが、人間との接触を避けるために夜間に活動するようになるのも同じこと。クマたちは時間と季節に合わせたルーティンを持つ一方で、このように環境に適応する柔軟さも持ち合わせているのです

日本のクマ代表!ヒグマ
近づきすぎてはいけない山の王者

 ヒグマは、北半球の森林や山岳地帯に広く分布する大型のクマです。特にユーラシア大陸北部と北アメリカに多く見られ、日本では北海道にのみ生息しています。圧倒的な体格と力強さから「山の王者」とも呼ばれる存在ですが、実は繊細で臆病な一面も持っています。
 

 日本で「クマ」といえば、多くの人はヒグマをイメージします。北海道に生息するヒグマは、国内最大の野生動物であり、森に暮らす生き物のなかでも象徴的な存在です。アメリカクロクマよりもはるかに大きく、オスでは600kgを超える個体もいます。