トキ、決意する

 この日は絵が売れてしじみ汁の実入りが飲めた。

 秋になって寒くなってきたから体に気をつけないと、と司之介(岡部たかし)。

「お金も大事ですけど、からだはもっと大事ですけん」と言った途端、くしゃみをするフミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)と司之介とくしゃみ3連発で、「言ってるそばから」と笑いころげる松野家。

『ばけばけ』を見ていると、人間、物理的な娯楽がなくなると、人間関係のやりとり――つまり会話で楽しむしかないのだという根源的なところに気付かされる。身近にいる人達とギスギスしていたら参ってしまうし、小さなことを愉快にとらえて笑って過ごすしかない。

 この家にもしタエと三之丞が入ったとしたら、精神的にキツイものがありそうだ。

 ただ、人間慣れるものとも言うから、慣れてタエと三之丞もケラケラ笑えるようになったらいいのかもしれない。いやいや……。

 愉快な松野家の夕飯が過ぎ、翌朝、トキは錦織を待ち伏せている。

「しじみ売りは辞めました」

 辞めてどうするのかといえば、ついにトキが決意した。

 次週予告ではヘブンの家に入ったトキに「あー」「あー」と蛇(渡辺江里子)と蛙(木村美穂)が大騒ぎ。

 小泉八雲と妻セツが結ばれるきっかけが女中(洋妾)だったとしたら、なかなかすごい題材を朝ドラは選んだなあと思うが、そのままどストレートにはいかないだろう。どんなふうに描くのかお手並み拝見。

「人に使われるくらいなら…」雨清水家を“どん底”に導いた「タエ(北川景子)の潔さ」は本当に美学なのか?〈ばけばけ第30回〉
「人に使われるくらいなら…」雨清水家を“どん底”に導いた「タエ(北川景子)の潔さ」は本当に美学なのか?〈ばけばけ第30回〉