20代前半の新卒で入社して「この会社で一生働こう」と思えたほど最高の会社は、30代中盤で子どもを産んでからは生活と仕事を両立させられないかもしれません。

 2社目の会社で上司との相性が悪かったから転職して人間関係を改善しようとしても、3社目では異動を繰り返すたびにもっと嫌な人間関係に疲弊するかもしれません。

一発逆転ダイエットのように
転職もリバウンドする

 ある相談者さんはこんな話をしてくれました。

 転職の面接で「私があなたの成長を一生支援します。安心して入社してください」と力強く宣言してくれた面接官がいました。入社後に上司になる予定の方で、とても感銘を受けました。この人と働けたら最高だと思いました。

 でも、私が入社した1年後に、その人は転職していきましたよ。

 これは実話です。

 あなたも会社も変わります。そうです。「転職はリバウンドする」のです。

 あなたにとって最高の会社はありますが、「最高でい続けてくれる会社はない」のです。転職もダイエットのように、「一発逆転しよう」とするとリバウンドします。

 しかし、だからといって「転職しても無駄だ」と言いたいわけではありません。

「ずっと最高の会社がある」という「転職神話」を手放し、「転職はリバウンドする」という事実を知る。そう気がついたとき、はじめて私たちは「自分の本音で会社も仕事も選んで、どんな結果も楽しもう」と思えるようになります。

 では、「本音で選べる状態」とは、どういうことでしょうか?

 それは「転職ステージ0」で次のように自分に問いかけることです。

「入社後の目標」を見つけられているだろうか?

 入社前に思っていたことと違ったとき、受け入れられるだろうか?

 この会社が傾いたとき、この仲間たちと一緒に頑張ろうと思えるだろうか?

 これらの問いに自分の言葉で答えられるようになったとき、「本音磨きをし終わった」と言えます。他人の意見や常識といった外野の声を浴び続けて心についた錆が落ち、転職活動をはじめる準備が整っています。