本音を磨いてから転職しないと
結局負のループに陥りやすい

「私はこうしたいけど、立場としてそれは言えないな」

 上司や同僚に、こんなことを言われた経験はないでしょうか?

 このように、職場では建前が当たり前のように優先されます。

 それは「方針」と言い換えてもいいでしょう。

 成果を出すために客観的なデータや根拠、数字や調査が重視されます。ときには「本当はしたくないこと」を結果を出すためにはすることだってあります。

 売り上げのために顧客に下げたくもない頭を下げたことのある人もいます。

 揚げ足を取るばかりの上司のために、必要以上に綿密な資料を休日返上でつくらざるを得なかった人もいます。

 もちろんこうやって本音より、建前や方針を優先することで成長や経験など、得られるものもあります。

 ですが、1カ月のうち、ほとんどがそんな日々だったらどうでしょうか?

「何がしたいんだっけ?」

「何のために働いてるんだっけ?」

 と道に迷って動けなくなってしまうのではないでしょうか?

 そして、そんな路頭に迷ったような状態のときに陥ってしまいがちなのが、次のような思考です。

書影『脱 会社辞めたいループ』(佐野創太、サンマーク出版)『脱 会社辞めたいループ』(佐野創太、サンマーク出版)

 また仕事に熱中できるときが戻る。転職すれば……

 嫌な人とは働く必要がなくなる。会社を辞めれば……

 休日の時間も楽しめるようになる。転職すれば……

 そうです。「一瞬にして目的地に飛ばしてくれる」呪文のように、転職にすがりついてしまうのです。

 本来は「本音を取り戻してから転職する」という順番なのに、「転職をしたら本音を取り戻せる」になってしまいます。

 もちろん、あまりにも劣悪な環境で健康を脅かされ、退職代行を使ってでも退職する必要がある職場は別です。救急車を呼ぶべき事態です。退職代行会社は働く人の代わりに、会社と交渉して会社を辞める手続きを進めます。

 でも、そこまでではなければ、「本音が先、転職は後」です。

 そうすることで、転職後「も」うまくいく人になります。