嫌われるのは
合理性と打算
なお、金払いのいい人間になりたいのなら、「合理的」に考えるのをやめましょう。「合理的」というのは、「打算的」と同じような意味ですし、合理的に考えると人のために奢ったりするのは、まったく勘定に合わず、自分が一方的に損をするだけの行為に思われてしまうからです。
人に対して親切にすることは、たしかに短期的な視点でいうと自分ばかりが損をしているように感じられるかもしれませんが、長期的な視点で言うと、相手からの「信用」や「好意」を得ることができるわけですから、決して無駄にはならないのだと思っていたほうがよいでしょう。
話は少し変わりますが、経済学では、「合理性」を重視します。自分の利益を最大化し、コストを最小化することが合理的な判断だと考えるわけです。
そのためでしょうか、経済学を勉強していると、「無駄なお金を使うのは愚か者」という発想をするようになってしまうので気をつけてください。
米コーネル大学のロバート・フランクは、自然科学、社会科学、数学、コンピュータ科学、芸術などを専門とする1245名の大学教授に「あなたは年間に、何ドルくらい募金をしていますか?」と尋ねてみました(※2)。
するともっともお金を募金していない、つまり一番ケチだったのは「経済学」の教授であることがわかりました。「1ドルも寄付しない」と答える経済学以外の専門家は2.9%から4.2%だったのに、経済学の教授は9.3%。
経済学を勉強しすぎると、「他の人にお金を使うのは無駄」という発想をするようになり、ものすごく金払いの悪い人間になってしまうかもしれませんので注意が必要です。
ケチケチしていては、人に嫌われるばかりで、結局は自分が損をすることになるということを覚えておきましょう。
(参考文献)
※1 Hendrickson, B., & Goei, R.  2009  Reciprocity and dating: Explaining the effects of favor and status on compliance with a date request.  Communication Research ,36, 585-608.
※2 Frank, R. H., Gilovich, T., & Regan, D. T. 1993 Does studying economics inhibit cooperation. Journal of Economic Perspectives, 7, 159-171.







