そう話すのは、ICT技術とデザインで図書館のシステム・サービスをプロデュースするユビキタスライブラリー部長の坂東紀典氏だ。

深刻な「読書離れ」に対する
手立てのひとつとして導入

「最近は特に深刻化していますが、読書通帳が導入された当時から『子どもの本離れ』はすでに問題視されていました。小学校低学年までは、ご両親が絵本を読んであげる家庭も多いのですが、学年が上がるにつれて、塾や部活動で忙しくなり、本を読む時間が減っていきます。特に中学生は読書時間が最も少なくなる傾向があります。そのため、小学校低学年から中学生までを対象に、この読書通帳を配布している図書館が多いようです」(坂東氏)

 文化庁が2024年に実施した「国語に関する世論調査」によると、1カ月のうちで全く本を読まないと回答したのは62.6%。つまり、世代に関係なく6割以上の人が本に触れない生活を送っている。

 こうした深刻な読書離れに対して、読書通帳にはどのような効果があるのだろうか。ユビキタスライブラリー部営業1課長の西村貴弘氏は次のように語る。

「読書離れを防ぐためには、幼稚園や小学校といった早い段階で、どれだけ読書の体験を積んできたかが大切です。そうした経験が、読書好きになることや、読書を習慣づけることにつながります。その意味で、読書通帳は子どもたちの読書への興味を引き出す、ひとつの有効な手段になっていると思います」

 実際に、読書通帳を導入した図書館の貸し出し冊数は増えているそうだ。だが一方で、ある課題も指摘されていると坂東氏は言う。

「貸し出し冊数が増えていても、本を読むというより読書通帳に印字するのが目的になってしまう子もいるようです。でも、そんな小さなきっかけが、本や図書館を好きになる第一歩になってくれたらうれしいですね」

 図書館は、何万冊、何十万冊という本が置いてある空間だ。まずは子どもたちにその雰囲気を感じてもらいたいというのが、図書館に関わる人々の思いだろう。