総合商社がトップ5独占
伊藤忠商事がV7
伊藤忠商事が前半戦調査で7年連続1位となったほか、三井物産(2位)、丸紅(3位)、住友商事(4位)、三菱商事(5位)と総合商社がトップ5を独占した。
事業領域の広さや世界を舞台に活躍する商社パーソンのイメージから、総合商社への学生の憧れは引き続き根強く、就職マーケットにおいて絶対的な人気を誇っている。資源価格の下落や為替変動、米トランプ政権の相互関税政策による世界景気の後退懸念はあるものの、現時点ではその影響は限られており、総合商社の業績は引き続き高水準で推移している。
1位の伊藤忠商事は非資源分野で安定的な収益基盤を誇り、2025年4〜6月期では4年ぶりに最高益を更新。通期では2期連続最高益となる純利益9000億円を計画している。「厳しくとも働きがいのある会社」を掲げ、産業界に先駆けて導入した「朝型フレックスタイム制度」や、夜の会食を1次会、午後10時までとする「110運動」といった働き方改革への先進的な取り組みも好感度が高い。また、全社員を対象とした固定給の引き上げや業績に応じた年収の大幅な引き上げなど、社員の待遇改善に積極的に取り組むほか、人事制度を一部変更し、30歳前後で事業会社の経営者としてマネジメント経験を積むことを可能にするなど、優秀な若手社員を抜てきしやすくする仕組みを導入。成長意欲の高い学生の人気を集めた。
2位の三井物産は、資源価格の下落の影響を受けながらも基礎営業キャッシュフローは微増しており底堅い。自分の働きたい時間や場所を自律的に考えられるフレックスタイム制や、利用回数の制限なく業務ニーズに最適な働く場所を選択できるリモートワーク制といったワークスタイル改革への取り組みや、四半期ごとに公開される100以上のポストに上司の承認なく応募できる「人事ブリテンボード制」をはじめとした社員の自律的なキャリア形成(挑戦・経験・学び)を後押しする仕組みに対する学生の関心も高い。
また、夏の1dayプログラム「“志”ワークショップ」や、実際にあったケースを題材に参加者同士のディスカッションを通じて商社業務のダイナミズムを伝える「挑戦と創造 追体験セミナー」など、早期から学生との接点を提供しており好評だ。
大手金融機関は、三菱UFJ信託銀行(7位)、あいおいニッセイ同和損害保険(8位)、大和証券グループ(9位)、三菱UFJ銀行(10位)と4社がトップ10にランクインした。
金利の上昇を背景に銀行の稼ぐ力は一段と高まっている。メガバンクは3行そろって3年連続でベースアップを実施したほか、三菱UFJ信託銀行(7位)、三菱UFJ銀行(10位)が大卒初任給を30万円に引き上げるなど若手社員の待遇改善にも積極的だ。
10月下旬には日経平均株価が5万1000円台を付けるなど、株高に沸く証券業界も業績好調を維持している。
9位の大和証券グループは、M&A(企業の合併・買収)の増加などにより4~6月期は増収増益。4年連続となる給与水準の引き上げを実施し、過去4年間の累計は20%以上の引き上げとなった。処遇の大幅改善に加えて、証券ビジネスを多角的にリアルに体験できるインターンシップも好評だ。
このほかトップ10には不動産デベロッパー大手の森ビル(6位)がランクインした。
総じて業績の好調な大手企業、中でも働き方改革や待遇改善を進め、早期から学生との接点を提供した業界トップ企業に人気が集中する結果となった。









