【リーダー必読】「そりゃ天下取るわけだ」…2200年前に“成果主義”を完成させた商鞅の国家システム

現代組織に通じる「システム」変革の要諦

商鞅の改革は、単なる過去の歴史ではなく、現代の組織運営や企業変革にも通じる多くの示唆を含んでいます。

ビジネスリーダーの皆様は、ここに「変革を成功させる原理原則」を見出すことができるでしょう。

商鞅が打破しようとした「氏族制」とは、現代の組織における「旧来の慣習」「年功序列」「特定の個人への依存（属人化）」と言い換えることができます。

彼はそれを「法」という明確なルールと「実力主義」という公平な評価基準（システム）に置き換えました。

組織が持続的に成長するためには、個人の感覚や経験則に頼るのではなく、誰がやっても一定の成果が出る「仕組み」を構築することが不可欠です。

「軍功爵制」は、成果（功績）と報酬（地位）を明確に連動させた、強力なインセンティブ設計です。重要なのは、貴族や王族という「聖域」すらなかった点です。この公平性が組織全体の活力を引き出しました。

また、「什伍の制」や「県制」に見られる徹底した中央集権化は、現代でいうガバナンスの強化です。改革は常に痛みを伴いますが、商鞅はそれを社会の末端まで浸透させる「本気の実行力」で乗り切りました。

秦の成功は、情緒や血縁といった「旧来の常識」を捨て、合理的な「システム」を選んだことによる、「システムの勝利」です。

皆様の組織には、もはや機能していない「氏族制」はありませんでしょうか。約2200年前の大改革は、未来のために既存の構造にメスを入れる、リーダーの勇気と覚悟の重要性を今に伝えています。

※本稿は『リーダーは世界史に学べ』（ダイヤモンド社）より一部を抜粋・編集したものです。