リーダーは「対話」と「覚悟」を示せているか
組織の「空気」すなわち企業文化を変革するには、「時間」と「対話」が不可欠です。
秦の轍(てつ)を踏まないために、組織のリーダーは制度設計以上に、この「見えざるもの」の変革にこそ心血を注ぐ必要があります。
なぜ「対話」が変革の土壌となるのか
制度はあくまで「器」に過ぎません。その器を活かすも殺すも、そこで働く人々の「考え方」次第です。
リーダーの最も重要な役割は、制度を導入することではなく、本文で示された「説明」と「共感」を、一方的な通達ではなく「対話」によって実践することにあります。
なぜ今、変わる必要があるのか。現場にはどんな不安や抵抗があるのか。新しい価値観が、メンバー自身にどのような未来をもたらすのか。
この地道な対話の積み重ねこそが、現場の納得感を引き出し、改革を「自分ごと」として捉えてもらうための土壌となります。
移行期を支えるリーダーの「一貫性」
特に、前ページの③④にある「移行期」と「リーダーの実践」は、変革の成否を分ける正念場です。人は本能的に変化を恐れ、慣れ親しんだ古い価値観(例えば、個人成果主義)に引き戻されがちです。
ここでリーダー自身が、新しい価値観(例えば、チーム貢献)と矛盾する言動をとってしまえば、メンバーは何を信じてよいか分からなくなります。評価制度とリーダーの言動が一貫して初めて、組織の「空気」は新しい方向へと確実に向き始めます。
制度導入をゴールとせず、文化変革という長期的なプロセスを完遂する。それこそが、現代のリーダーに求められる真の覚悟と言えるでしょう。
※本稿は『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。















