最近話題の「黒字リストラ」か
ANAグループの業績は好調
今回の統合は、最近話題の「黒字リストラ」の一種とも捉えられる。つまり業績が良好なうちに、将来の環境変化に備えて不採算部門や非効率な事業を整理し、経営資源を中核事業に集中させるマネジメント手法である。
ANAHDの26年3月期業績の最新見通しは、売上高が2兆4800億円(前期比10%増)、営業利益は2000億円(同2%増)、純利益は1450億円(同5%減)で、いずれも従来予想から上方修正している。国際線が好調で業績は黒字と「余裕のあるうち」に、戦略的な立ち位置が曖昧で認知度の低かったAirJapanブランドを統廃合し、リソースをANA本体と、LCCとして成功しているピーチへ集約したと見ることができる。
ANA本体は国内線から長距離国際線まで総合的に担い、ファースト・ビジネス・プレエコノミー・エコノミーと最大4クラスの客室サービスで、日本のフラッグキャリアとして「おもてなし」を体現し、外国人への認知向上もいっそう図る。一方でピーチは、低価格と若年層向けのマーケティングでLCCモデルを持続させ、さらにエアバスA321XLRのような新機材を導入することで、中距離LCCの役割を担うことも可能となる。
AirJapanの休止は、本質的には「中途半端なハイブリッドエアラインは不要」という市場の意思表明でもある。今回のANAグループ再編は、「選択と集中」「黒字リストラ」の良き手本になることを願いたい。
2024年2月6日 AirJapan就航前発表会にて Photo by Koji Kitajima
2022年3月8日 AirJapanブランド発表会 Photo by Koji Kitajima







