こうなったら札幌の(フルマラソン3時間切り)[サブスリー]さんも含め、タナカヒロカズだけの駅伝チーム結成に期待したい。

病院でバッタリ出会った
103人目のタナカヒロカズ

 我らタナカヒロカズ族においては、病院は同姓同名遭遇スポットとして知られている。自分自身の体験は、2013年10月だった。親知らずを抜くことを決め、とある歯科系大学病院に朝から向かった。

 診察の際のリスク説明というのは気の重いもので、今さらながら「抜かなくてもいいということは無いですか?」と往生際の悪い質問を繰り出しつつも、抜歯の日取りを決めて診察はあっけなく終わり。受付に戻り固いソファに腰掛けて、テレビから流れる国会中継をぼんやり眺めていた。

 何人かの名前とともに最後に「タナカヒロカズさん」と声がかかった。呼ばれた順に次々と会計カウンターに行き、お支払いをするシステムだ。あらためて「タナカヒロカズさん」と窓口担当の方がさらりと告げる。カウンターに向かって身を進めると同時にもう1人、右手に同じ動作をした人がいた。

 カウンター越しに用意されていた2枚の領収書の宛先は「田中宏和」。103人目にお会いした田中宏和さんをその場で「バッタリの田中宏和さん」と名づけ、玄関に立つ警備の人にお願いをして記念写真を撮ってもらった。明らかに契約業務外の対応をしているぞという不機嫌な態度だったが、いざシャッターを押す段になると手ぶれの心配があるくらいに笑い出し、確認してみると上機嫌な我ら2人が写っていた。

『全員タナカヒロカズ』書影『全員タナカヒロカズ』(田中宏和、新潮社)

 つまり病院とは公衆の場で名前を呼ばれる場なのだ。[ブレザー]さんは病院で名前を呼ばれ診察室に行ったら、すでに自分じゃないタナカヒロカズさんが入っていたことがあったそうだ。

 [明石]さんは、35年あまり前の高校生の時、発熱で体調が悪く久々に行った近くの個人内科で、「たなかひろかずちゃん」と呼ばれ「ちゃん、って何やん?」と思いつつ診察室に入ったところ、医者が不審そうな顔をして「カルテが違うんじゃないか」となったそう。

 同姓同名で間違った処方をされ、命に危険がおよびかねない。医療の場での同姓同名には用心が必要だ。

 鳥取の[うるち]さんは小学生の時に、総合病院の館内放送で「タナカヒロカズ先生ーっ」と呼ばれ、びっくりしたそうだ。患者だけが同姓同名の対象ではない。