社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

自分の「強み」に気づくために、やってみたほうがいいことベスト3Photo: Adobe Stock

このフレーズを言いそうになったら…それが強みかもしれない

 本書の「強みの種」を発見するプロセスにしたがって、だんだん「強みの種」が見えてきても、多くの人はそこで立ち止まってしまいます。まずは、「どうしても自分の『強みの種』を強みだと思えない」場合。

 こう思う方はかなり多いです。そして、ほとんどの方が次のように言われます。

「こんな簡単なこと、誰にでもできる」
「強みだとしても役立つ場面なんてほとんどない」
「私よりもずっと上手な人がいる」

 でも、そんなことは、関係ないのです。

「こんなの誰にでもできる」という誤解

 まず「こんなの誰にでもできるから強みの種といえない」という考えは、誤解です。人間の能力には限界があるので、何かができる人は、何かができません。

 短距離走の世界王者が同時にマラソンのオリンピック金メダリストになるには無理があるように、何かを鍛えると、相反する何かが犠牲になります。

 強みの種も同じで、何かの強みの種を育てていくと相反する何かが犠牲になります。

 どれも満遍なく鍛えようとする人もいますが、それも誰でもできることではありませんから、もしできたとしたら、それ自体が強みです。

 あなたができることを、できない人がどこかにいます。
 同様に、他の人ができることが、あなたにできないのも当然です。

「こんなの誰にでもできる」と言う人は、こういうことも言いがちです。
「あの人、どうしてこんな簡単なことができないのだろう?」

 自分ができることは誰にでもできると思っているから、他の人ができないことに対して、どうしてできないのだろう?と感じてしまうのです。

 例えば、自分の整理整頓能力を「こんなの普通」と思っている方が、職場の同僚の机やファイル管理にイライラしている、ということはよくあります。

「こんなの誰にでもできる」というセリフは謙虚に聞こえますが、相手の強みを無視した厳しい考え方ともいえます。

 人はそれぞれ違う強みの種を持っています。自分の苦手は誰かの強み。誰かの苦手は私の強み。補い合って自分ひとりではできないことを成し遂げていくのです。

 この事実には、なかなか気づくことができません。それに気づくために、次のようなことをやってみましょう。

・自分では「これは誰にでもできる」と思っている行動や能力をリストアップする
・周囲の人の中に「実はそれが苦手」という人はいないか確認する
・周囲を観察し、自分が自然にできることで他の人が苦労している場面を探してみる

*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。