SNSの口コミが上々なら
「万博は大成功」でいいのか?

 繰り返すが、財界やメディアの水面下の動きがあるにもかかわらず、SNSの口コミが入場者数を押し上げたという美談、「万博は大成功」というのは、筆者はどうも解せない。

 そもそも一般入場者数は、成功基準と目標とされていた2820万人を達成していない。開催決定の前提となった会場建設費は、なし崩し的に後付けで増額していく。つまり、税金を投入して開催する計画前提が、後付けですべて変更されている(表「会場建設費および運営費の予算計画の変遷」を参照)。これのどこが大成功なのか、非常に違和感がある。

 閉幕直後に報道された「万博は黒字で成功でした」という話は、単に万博協会が負担する運営費を、入場料などの収入が上回ったというだけだ。会場建設費や警備費、機運醸成費など国が負担した費用は、つまり全て税金である。

 メディアは、こうした内情をもっと丁寧に報道すべきだろう。単純に、「会期終盤は駆け込みが起きるほど大人気でした」「ミャクミャクのグッズが飛ぶように売れました!」などとポジティブな言い回しばかりを平気で垂れ流している。これでは、万博が成功したと誤解する人が出ても仕方がない。

万博の成功とは
いったい何を指すのか?

 もちろん、実際に万博に行った個人が「楽しかった」などと肯定するのは、何も問題ない。一方で、万博に行かなかった国民が大多数であり、その国民が納めた税金も投入されているのが万博なのだから、メディアはその効果を冷静に分析すべきだ。何より、大金が動いているのだから、それだけ高い成果が求められるイベントである。では、万博の成功とはいったい何を指すのか。

大阪・関西万博会場 筆者撮影大阪・関西万博会場 筆者撮影