他人に読まれる文章を狙うほど、言葉が空回りしてしまう。どこかから引用するたび、自分の思考は細くなる。あなたは、自分の頭で書いているだろうか。
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

「他人のために書く」のではなく「自分のために書く」べきなのか?

他人の反応など、気にするな

他人のために書くのではなく、
自分のために書くべきだ。

――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より

書くことは、自分の考えを言葉にする行為だ。

思索は、よい文章を生む原動力であり、そこから得た知識だけが本当の知識になる。

まず自分で深く考える力を育てる。

そのうえで、その独自の思考を伝える文体が必要になる。

ショーペンハウアーは、単純さ、素朴さ、明瞭さを重んじた。

最高の文は、誰でもすぐわかり、内容も文体も簡潔である。

読み手の反応を先に気にすると、肝心の思考がぼやける。

自分のために書けば、言いにくい本音も紙に置ける。

考えが整えば、結果として他人にも伝わる。

最も警戒すべきは、他人の考えを自分のもののように書くことだ。

借り物の知恵を並べて博識らしく見せても、不自然さが残る。

自分の頭で考えた筋道を、自分の言葉で示す。

曖昧で難解な表現は避け、だれにでも伝わる言い回しを選ぶ。

抽象語を重ねず、具体的な主語と動詞で短く言い切る。

他人の地図を写すだけでなく、自分の足で歩いた跡を記す。

書き終えたら声に出して読み、言い換えられる所を削る。

それを毎日続ける。

評価は後からついてくるが、思索は今しかできない。

自分のために書く姿勢が、簡潔で明瞭な文体を育て、借り物でない言葉を残してくれる。

(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)