スタイルマッチの視点で重要なのは、カルチャーの奥にある価値観――つまり、「なぜそうしているのか」という“行動の根っこ”をきちんと伝えられているかどうかです。
これについては、たとえば「20代で成長しやすい」という社風をどうとらえるかについて説明すると、理解が進むと思います。
「20代で成長しやすい環境を探しています」という求職者に対し、「当社は20代で成長しやすい環境を整えています」と答える企業があったとしましょう。
両者の思惑は一致しています。個人と企業の価値観がマッチしているように見えます。
しかしこの「20代で成長しやすい」は、その企業のカルチャーや雰囲気の域を出ていません。その企業でいう「成長」とは何かという点が言語化されて初めて、スタイルとみなすことができるのです。
抽象的なキャッチコピーは
ミスマッチの原因になるだけ
成長に対する価値観は個人も企業もそれぞれで、それに紐づいた手段も変わってきますし、食い違っているとミスマッチが起こってしまいます。
同じ「成長しやすい環境」でも、求職者が求める環境と、企業がそうとらえている環境が、必ずしも一致するとは限りません。
もちろん、世の中に存在する企業の数だけ「成長しやすい」の定義には違いがあります。
たとえば、ある企業では「とにかく時間と量をこなすことが成長につながる」という価値観のもと、シャカリキに仕事に打ち込む姿勢が評価されている一方で、別の企業では「自律性の高さこそが成長に不可欠」ととらえ、当事者意識を持って自分で判断し動けることが重視されている、というようなケースです。
このように、表層的にはどちらも「20代で成長できる環境」といえるかもしれませんが、求められるスタンスや評価される行動はまったく異なります。
だからこそ、「どんな成長を」「なぜ大切にしているのか」までがセットで語られて初めて、本質的なスタイルマッチが可能になるのです。







