求職者と企業双方の「成長に対する価値観や定義」が異なっていたら、表面的かつ一時的なカルチャーマッチにとどまり、本質的なスタイルマッチには至りません。

「どんな成長を」「なぜ大切にしているのか」がセットで語られないと、それは単なる雰囲気の話でしかないのです。

 これをスタイルマッチにするなら、あくまでも一例ですが、

「失敗を通じて学ぶ姿勢を何より重視しています」
「若手でも“挑戦を前提とした仕事設計”をしている理由は、自走できる力を育てるためです」

 というふうに、行動と判断の理由が言語化されていることが重要です。

図表:スタイルは「本質的なマッチング」を可能にする同書より転載 拡大画像表示

掲げるアピールポイントの
解像度を上げる意識を

 このように、スタイルとは、「制度やカルチャーの“なぜ”を言語化したもの」とも表現することができるでしょう。同じ制度でも、背景にあるスタンスが違えば、それは別のスタイルなのです。

 ほかにも、いくつか例を挙げてみましょう。

・「フルリモートOK」「完全フレックス」
→制度の話
→スタイルとして伝えるなら?
「“時間の使い方は自分で最適化すべき”という価値観がある」
「“信頼があるから自由がある”と考えているからこそ、働き方を委ねている」

・「風通しがいい」「フラットな組織です」
→雰囲気の話=カルチャー
→スタイルとして伝えるなら?
「誰が言ったかより“何を言ったか”で判断される文化がある」
「全員が“違和感にちゃんと声を上げる”ことを当然のこととしている」

・「チームで助け合います」
→雰囲気・文化=カルチャー
→スタイルとして伝えるなら?
「困っている人を放っておかないことが“暗黙の行動基準”になっている」
「それが評価やフィードバックにもちゃんと組み込まれている」