極道の道に進んだ当初は父親を超えたいという思いを持っていたハルさんだが、父親とは別の組に入ってからは苦労が続いたという。
「良い組に入ればそれなりのポジションに就けたのですが、僕は運が悪いのか組長の用心棒などをしていました。仕事柄、命に関わることもありましたが、戦場に比べれば大したことはないです。シノギが無いのでいつも金には困っていましたよ」
“兵隊やくざ”の勝新太郎も組長の用心棒という設定だった。刑務所に10年間収監されていたことを聞いてみる。
「詳しいことは言えないのですが、某宗教団体とそこと関係する団体に暴力的抗議をした結果です」
一般人に被害が及ばないように計画は入念に、実行には細心の注意を払ったという。残念ながら詳しく書くことができないが、2022年に起きた安倍晋三元首相銃撃事件を彷彿させる行動を10年前に起こしていた。
ハルさんが収監された西日本の刑務所は日本でも一、二を争う凶悪犯が収監されていることで有名だったという。ここに入ったことがハルさんの考えを大きく変える契機になる。
「出所後、組からは戻ってきてほしいと言われていましたが、戻りたいという気持ちは全くありませんでした。ヤクザになった時は、映画で描かれるような任侠を重んじることに憧れましたが、犯罪者集団になっているのを見ると、僕が戻る世界ではないと思ったのです」
人生初の海外渡航が
ウクライナだった
ヤクザの世界から完全に足を洗い、就いた仕事は四国での林業だった。
その後、職探しをしていたそのタイミングに、ロシア軍がウクライナに侵攻したというニュースが世界中を震撼させた。
「テレビの報道を見ていて、最初は“戦争が始まったな”ぐらいにしか思ってなかったのですが、ロシア軍が民間人に危害を加えていることに気持ちが動かされ、特にお年寄りや子どもの犠牲者を見ていたら、このまま傍観しているだけで良いのか?という気持ちになってきて……」







