この「これなら間違いない」という安心感は、メンバーの積極的な行動を促す強力な原動力となります。

 2つ目は、「型」が「創造性を引き出す土台」となることです。

 基本となる「型」が確立していると、メンバーは自由な発想で工夫や改善に取り組むことができます。言い換えれば、「型」は制約ではなく、むしろイノベーションを生み出すためのプラットフォームとして機能するのです。

 このように、「型」は組織に対して、「確実性と創造性」を同時にもたらす、極めて重要なマネジメント・ツールであると言えます。

「型」を活用して
想像以上の結果が出た例も

「型」を活用したIT企業のプロジェクトリーダーは、こう語ります。

 システムダウンの緊急対応で、若手エンジニアに基本的な復旧手順だけ伝えて任せました。

 彼は、手順を基に、より効率的な解決方法を見つけ出したんです。

 調査で「型だけ教えて任せる」を実践してもらったところ、次の効果が明らかになりまた。

・メンバーの成長を実感したと回答するリーダーが56%増加
・精神的な負担が減ったと回答するリーダーが42%増加

 そして、重要なのは「型」の与え方です。

 それには、ある3つのパターンが効果的だとわかりました。

1、型による「やり方」の指示は、必要最小限にとどめる
2、理由や背景も簡潔に説明
3、「この先は君の判断で」と明確に伝える

 これにより、メンバーは「型」を単なる制約ではなく、創造の土台として活用できるようになるのです。

 金融機関のある主任は、型を活用した成功体験をこう語ります。

 緊急の対外交渉で、基本的な交渉の枠組みだけ示して任せました。

 最初は不安でしたが、「型」を基に、むしろ私以上の成果を上げてくれたんです。

 つまり、「型」は制限ではなく、可能性を広げるための足場なのです。

 緊急時こそ、完璧を求めすぎず、必要最小限の「型」を示す。

 そして、その先は思いきって任せる。

 この割り切りが、実は最も効果的な解決策となり得るのです。

 あなたの「型」は、既にチームを動かすための十分な基盤となっているはずです。

 もしそれがチームを動かす手段になっていないなら、必要なのは、「型」を適切に示し、その先をメンバーに委ねる勇気です。

 まずは「小さなこと」から任せてみてください。その結果として得られる成功体験から、メンバーだけではなくあなたも自信を得られるはずです。