アイツさえいなければ…強敵に遭遇しても一気に形成逆転する「スゴイ思考法」写真はイメージです Photo:PIXTA

ビジネスにおいてもプライベートにおいても、敵の存在はつきものだ。「アイツさえいなければ…」の思いが高じてついには全面戦争に突入する展開は少なくない。真っ向から対立するよりも賢い立ち回りを、筆者が教えてくれる。※本稿は、ベルトルド・ガンスター『ひっくり返す(FLIP thinking)人生も仕事も好転する「反転」思考術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

オランダ財務省と放送局との攻防戦
勝利するのは?

 オランダでは、年次国家予算案が、9月の第3火曜日に発表される。この日は国王が施政方針演説を行うプリンシェスダグという国家行事の日でもある。オランダ財務省が予算案を報道機関に発表するのは、その日の直前であり、厳重な報道管制が敷かれる。

 しかし2004年、大手放送局のRTLニュースが、リークにより1週間ほど早く予算を知ることができた。翌年、財務省はセキュリティーをとりわけ厳重にしたが、RTLニュースはまたもやスクープをいち早くつかんだ。

 そこで同省は方針を転換することにした。ピーテル・クラインを同省の新しい最高情報責任者として採用したのである。彼がそれまでどこで働いていたかというと……そのとおり。RTLニュースの政治部デスクだった。このアプローチは正解だった。

 彼がリークの仕組みを心得ていたおかげで、その年は予算がリークされず、決まりどおり国王演説の日に高らかに発表された。