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コピーライターの澤田智洋氏が32歳のときに授かった長男には3つの障害があった。当時彼は必死でいろんな人の話を聞き「障害のある人を起点に発明されたものが、世界にはたくさんある」という事実を知る。実体験を通して得たコンセプトとは?※本稿は、コピーライター澤田智洋『人生にコンセプトを』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。
突如訪れた
人生のピンチ
ここで改めて、私のライフコンセプト「マイノリティデザイン」の話をさせてください。どうして私はわざわざこの言葉をつくったのでしょうか?それは、突然社会から遠く浮いてしまったからです。
32歳のときに生まれた長男には、3つの障害がありました。まずは視覚障害があり、先天的に全盲であったこと。後々わかったのですが、日本の子どものうち視覚に障害があるのはわずか0.04%。つまり1万人に4人しかいないんです。それだけでなく、彼には知的障害があり、ASD(自閉症スペクトラム症)であることもわかりました。
視覚に加えて他の障害がある人を「盲重複障害者」と呼ぶのですが、こうなるとおそらく数万人に1人の確率でしょう(データすらないのでただの憶測ですが)。
前例も少ないし、周りに症例も少ない。そうなると頼れる情報や人も少ないので、世界から見捨てられたような絶望感に襲われました。仕事も手につかないままに、息子の入院生活が慌ただしく始まったりと、今振り返ると当時何をしていたのか記憶がすっぽりと抜け落ちています。パリでの透明人間期以来の、人生の大ピンチです。







