映画鑑賞するカップル写真はイメージです Photo:PIXTA

『もののけ姫』『リンダリンダリンダ』など、過去の作品がリバイバル上映をきっかけに再び注目を集めている。『エヴァンゲリオン』シリーズも“月1エヴァ”と題して、過去6作品の上映を実施。青春時代に夢中になったタイトルに、懐かしさを覚えた人も多いだろう。なぜ、いまリバイバル上映がこれほど盛り上がっているのか。(清談社 穂村小麦)

リバイバル上映が
ブームになった背景

 動画配信が盛んになり、映画やドラマだけでなく、YouTubeや各サブスクリプションのオリジナル作品なども登場し始めた現代は、「何を観るか」を選び出さなくてはならない時代になった。日本の映画上映活動を年ごとにまとめた報告書『映画上映活動年鑑』によると、2021年の上映作品数は998本だったのに対し、2024年には1315本に増えている。この中にはかつて大ヒットした旧作映画も多く含まれ、人気を博しているという。

「新作映画の公開数も10年ほど前に比べると3倍ほど増えており、コンテンツが多すぎるというのが現状です。そのため、絶対に面白いと分かっている作品しか観たくないという“鉄板思考”になる人が増えたように思います。リバイバル上映は不朽の名作を上映することも多く、新作に比べて外す可能性が低いため好まれている可能性もありますね」

 そう話すのは映画レビューサービス『Filmarks(フィルマークス)』を運営する株式会社つみきでリバイバル上映を企画するプロデューサーの渡辺順也氏だ。

「私たちは映画を“見る”ではなく“観る”ものと考えています。スクリーンで観る体験には、配信では得られない特別な時間があると思うんです」

 現在、リバイバル上映がブームになっている背景にはコロナ禍と密接な関係がある。コロナ禍前までは、リバイバル上映は今よりも小規模でイベント的に行われていた。しかし、緊急事態宣言が発令され、新作映画の撮影が止まったことで、映画館で上映できる作品が激減。配給会社と劇場はその穴埋めとして旧作の上映に踏み切った。

株式会社つみきでリバイバル上映を企画するプロデューサーの渡辺氏株式会社つみきでリバイバル上映を企画するプロデューサーの渡辺氏