牛や豚、鶏が屠畜(とちく)されると、直後の肉は軟かいが、ほどなく死後硬直によって硬くなっていく。硬直している段階の肉はとても硬くて香りもなく、うま味成分も多くないので、食べてもおいしくはない。
この硬直した肉を低温で貯蔵すると、酵素の働きで肉が分解され、少しずつ軟かくなる。さらに、イノシン酸やグルタミン酸などが増えて、うま味があり、焼くと香りのある肉になっていく。
貯蔵によって、肉が軟かく、おいしくなっていくことを熟成という。熟成期間は肉の種類によって異なり、4℃で貯蔵した場合、牛肉なら10日、豚肉では3~5日、鶏肉が半日~1日といったところだ。
スーパーや食肉店で販売されているのは、こうした熟成期間を経て、十分おいしくなった肉だ。消費期限がギリギリになっている見切り品の場合、店に並んだ2~3日前よりも、うま味がやや増している可能性がある。
安くてお買い得のうえ、味も良くなっているかもしれないので、見切り品の肉はかえっておすすめだ。ステーキ肉などの厚みのある肉の場合、肉の表面がやや暗い赤色になって、鮮度が悪いような印象を受けるもののほうが味はいい。
ただし、さらに日数がたつと、肉は腐敗がはじまる。食べると危険な状態になるので、店が設定した消費期限を守るのが肝心だ。買ったその日がギリギリなら、夕食で必ず食べるようにしよう。
冷蔵庫の使い方ひとつで食品もおいしく長もちする
卵の保存の仕方で、迷う人は少ないかもしれない。冷蔵庫には多くの場合、ドアポケットに卵専用のホルダーがついているからだ。パックから取り出して、傷みにくいように尖ったほうを下にして詰め替える。これでOK……ではない。
ドアポケットは温度が一定に保たれにくい。加えて、開け閉めの際の振動で殻にヒビが入り、雑菌が繁殖する可能性もある。さらに結露によって、殻に空いている小さな穴から雑菌が入り込むかもしれない。卵の保存場所には適していないのだ。







