小学校受験対策は
「0歳」から始まる

　富裕層の家庭における名門小学校の受験準備は、実質的に“0歳から”始まります。

　もちろん、0歳の段階で子ども自身に何かを教えるわけではありません。

　しかし、親の準備はこの頃から始まります。

　志望校の入試試験の動向調査から始まり、そこに通う生徒の保護者からの情報収集、先生や学校関係者へのコンタクトや、人事情報の取得、その学校に強い家庭教師や塾の調査などです。

　それ以外にも、家庭内での環境整備に始まり、親自身も子どもの教育のあり方や親子としての関係性などをさまざまな本を読んだり、人から話を聞いたりすることで学んでいきます。

子どもが厳しい受験戦争を
戦い抜ける理由

　名門校を目指す子どもたちは、3歳から幼児教室に通い始め、4歳頃にはすでに受験モードに入ります。

　幼稚園が終わると家庭教師や塾、ペーパー試験、行動観察、体操、絵画、巧緻性（手先の器用さ）練習が続き、さらに模試や学校別対策も行われます。

　1日の勉強時間が6時間を超えることも珍しくなく、土日祝日、年末年始も関係ありません。

　それでも子どもたちが最後まで戦い抜けるのは、「努力しなければならないと理解しているから」ではありません。

　彼らの家庭が、 “努力が当たり前である環境”になっているからなのです。

　富裕層の家庭には、経営者や専門職が多く見られます。

　経営者は市場の変化に常に対応し、医師は最新の医療知識を学び続け、弁護士は法改正を追い続けます。

　こうした「学び続ける親の姿勢」が、子どもにとって努力のモデルとなります。

　親が日々努力を惜しまず、学び続ける環境に育った子どもは、自然と「努力とは生活の一部」という感覚を身につけていきます。

　努力を“理解する”のではなく、“吸収していく”のです。

　これこそが、名門校受験を乗り越える子どもたちの心理的基盤となっています。