「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師で、シンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。企業とユーザーが共同で価値を生み出していく「場づくり」が重視される現在、どうすれば価値ある戦略をつくることができるのか? 本連載では、同書の内容をベースに坂田氏の書き下ろしの記事をお届けする。

【保存版】「チームを成功に導くリーダー」が実践しているたった3つのことPhoto: Adobe Stock

成功するリーダーの
「考え方」と「行動の型」とは?

 あなたの周りには、困難を乗り越えてチームを成功に導くリーダーはいませんか。

 一方で、メンバーとの衝突が絶えず、チームを停滞させてしまうリーダーもいるのではないでしょうか。

 こうしたリーダーの違いは、決して才能などではなく、「考え方」と「行動の型」にあります。

失敗を恐れず、学びを仕組みに変える

 チームを成功に導くリーダーが実践していることの1つ目は、失敗を学びに変えることです。

 チームを率いるときには、さまざまな失敗がつきものです。思い通りにいかないことも数多くあります。期待して採用した人が思うような成果を出せなかったり、社運を賭けた新商品が鳴かず飛ばずで終わったりしてしまうこともあります。

 こうしたとき、失敗を謙虚に受け止め、将来の糧に変えられるかどうかで、リーダーの真価が問われます

多様なメンバーの力を引き出す

 2つ目は、多様なメンバーの力を引き出すことです。

 同じような属性の人たちで構成される均質的なチームは、平時にはまとまりがあり、安定しています。阿吽の呼吸で動けるケースもあるなど、明確に言語化しなくても会話が成り立ち、失敗も少ないでしょう。

 しかし、均質的なチームからは、新しい発想が生まれません。イノベーションを起こすためには、国籍や性別、キャリアの異なるメンバーの力を掛け合わせる必要があります。

 多様な個性をまとめ、価値へと転換できるかどうかが、リーダーの力量を分けます

未来から逆算して今を動かす

 最後は、未来のビジョンを構想し、そこから逆算して今を動かそうとすることです。

 今期の予算を達成することももちろん大切ですが、それだけではチームは疲弊します。

 リーダーには、数字ではなく未来のビジョンを起点にチームを導く力が求められます。そのために必要なのが、ビジョンから逆算して今の行動を決める「バックキャスト思考」です。

 たとえば、シンガポールの初代首相リー・クアンユー氏は、独立直後の何もない時代に国家の未来を描きました。資源に乏しい小国を世界有数の先進国へと導いた彼は、未来から逆算して人々を鼓舞し、一歩ずつ現実にしていったのです。

『戦略のデザイン』では、戦略を成功に導くための「リーダーのあり方」を、具体的な事例とともに解説しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
IGPIグループ共同経営者、IGPIシンガポール取締役CEO、JBIC IG Partners取締役。早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。ITストラテジスト。
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト・アンド・ヤング(現フォーティエンスコンサルティング)に入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援(事業計画立案・実行、M&A、資金調達など)に従事。
その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。
退任後、経営共創基盤(IGPI)に入社。2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
単著に『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』『超速で成果を出す アジャイル仕事術』、共著に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(共にダイヤモンド社)がある。