健康を削ってでも、お金を稼ぐべきか――そんな自問を抱えていませんか。ショーペンハウアーは幸福の第一条件に「健康」を置きました。富も名誉も、体が弱れば味わえません。あなたの優先順位は今のままでいいですか?
IVEチャン・ウォニョン氏や俳優ハ・ソクジン氏の愛読書と話題となり、韓国で262刷、60万部を超え、「哲学ブーム」の火付け役となった書籍『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに解説します。

健康を犠牲にしてはいけない
幸福の90パーセントは、
健康に左右される。
――『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』より
ショーペンハウアーは「健康な物乞いの方が、病気の王様より幸せだ」と言った。この言葉は、何を優先すべきかを端的に示す。
近年、私たちはお金や肩書と引き換えに、いちばんの土台を削りがちだ。
ショーペンハウアーは幸福の第一条件に健康を置き、そこを犠牲にして得るものは結局使い道を失うと見る。
健康でなければ何をしても楽しくないし、体が整っていてこそ気分は安定し、多くの困難は扱える。
もちろん、健康に気を配っても早逝する人もいれば、無茶な生活でも長生きする例もある。
それでも、いくら持っていても死ねば意味を失うという事実は動かない。
「健全なる精神は健全なる身体に宿る」と古代ローマの詩人ユウェナリスが記したように、心の明るさを支えるのは名誉や金銭ではなく健康だ。
ショーペンハウアー自身も「人生の短さを知るには、長生きする必要がある」と述べている。
彼は「よく笑う人は幸福に近い」という一節に触れつつ、気質には先天的な差があることも認める。
性格は急には変わらないが、明るい心を保つための土台としての健康は、誰にとっても決定的だという含意である。
彼のいう「主観的な資産」――気高さ、優れた頭脳、楽天的気質、そして明るい心――は、健康とともに働く。
とりわけ人を最も幸福に近づけるのは明るい心であり、それを保証するのは外部の称賛ではなく日々の健やかさだ。
だから、幸福を外に探し回る前に、自らの健康を整えるべきだ。
まず生きられる力を守り、その上に富や評価を重ねる。
順番を取り違えれば、手に入れたものは喜びではなく「重り」になる。
健康を優先するという静かな決断が、幸福の9割を支えるのである。
(本記事は『求めない練習 絶望の哲学者ショーペンハウアーの幸福論』をもとに作成しました)









