産んでもきちんと責任を果たせないなら、出産しても何の意味もないというわけだ。

『働きたいのに働けない私たち』書影『働きたいのに働けない私たち』(チェ・ソンウン著、小山内園子訳、世界思想社)

 そうした見解を明らかにする学生を前にして、よく考え込んでしまった。福祉政策を研究する身としては、少子化問題が今後韓国に及ぼす否定的な影響について説明すべきだった。

 国家の経済が上手く回っていくには、生産活動の中心となる15~64歳の生産年齢に該当する人口がどれくらいいるかが重要である。少なくとも今のレベルで経済を維持しようとすれば、男女1組が結婚して子どもを2人以上もうけなければならない。

 しかし、実際に子育てをしながら働く女性としては、出産を勧めるのは難しかった。出生率の上昇は社会的には望ましくとも、社会進出を夢見る高学歴女性にとっては依然重い負担だ。

 韓国で、若い女性が学問を身につけた母親になろうとした時、その選択が職場生活と両立しづらいことは明らかなのである。