未就学児を抱える女性を対象に育児時間と家事時間を調査したところ、共働き夫婦の場合でも、女性が男性に比べて、より多くの時間を使っていることがわかった。

 共働き夫婦の平日の平均育児時間(注4)は、女性が4.3時間で夫が1.3時間。女性が働いていない場合、妻は6.7時間で夫は1.2時間と、その差はさらに大きくなる(注5)。

子育てをすることは
キャリアの死を意味する

 女性のほうが育児と家事により多くの時間を費やすという構造は、果たして家父長的な社会文化のせいだろうか。調査結果によれば、高学歴で高所得な女性ほど、家事や育児は公平に分担すべきと考えている。

 その一方で、育児に専念すべき時期があるという点については、女性たちも共感を見せる。

 未就学児を抱える女性を対象にした調査で、子どもを保育施設に預けない理由を尋ねる質問に、母親たちは「子どもが小さすぎるから」(67.6%)、「自分で育てたほうが情緒の発達などによいと思うから」(19.2%)と答えている。

 親が自分の子を自分で育てたいと思うのは当然のことだろう。外部のケアサービスでは完璧に満たすことのできない空白はあるものだ。

 問題は、スウェーデンのように、子どもが小さいうちは親が育児に長い時間を使えるという制度がないことなのである。

 子どもがいる女性の「自分の子どもを自分で育てる」という決定が、韓国ではキャリア断絶、あるいは労働市場への参入放棄に結びついてしまう。

(注4)日本に目を転じてみよう。総務省統計局「我が国における家事関連時間の男女の差──生活時間からみたジェンダーギャップ」(2022年公表)によると、2021年における6歳未満の子どもを持つ共働き世帯の平均育児時間は女性が3.24時間、男性が1.03時間、夫が有業で妻が無業の世帯の平均育児時間は女性が4.56時間、男性が1.06時間である(https://www.stat.go.jp/info/today/pdf/190.pdf)。
(注5)イ・サムシク「2015年全国出産力および家族保健・福祉実態調査」、韓国保健社会研究院、2015年。