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イオングループの小型スーパー・まいばすけっとの勢いが止まらない。店舗自体はとても小さいが、関東を中心に店舗数をどんどん増やしていて、東京在住の人なら一度は見かけたことがあるのではないか。一体なぜまいばすけっとは多くの人に利用されているのだろうか。(フードコンサルタント 池田恵里)
マンション住民にとっては“階下の冷蔵庫”のような存在?
「まいばすけっと、いつの間にか、どこにでもあるようになったね」
取材をしていると、最近よく聞かれるようになった。
東京都周辺にいつのまにかアメーバのように集中出店しており、今や店舗数1262店舗(2025年上期)。伸び率も、この5年間で131%となっている。
一見すると、取り立てて大きな特徴がないように見えるまいばすけっとだが、上場されていないことから、その運営方法は公開されていない。
しかし、そこには他社にない「面で攻めていく戦略」があり、他社の追従を許さない緻密な戦略が隠されているのだ。
戦略1:立地から見えるまいばすけっとの戦略
これまでの出店エリアは、東京23区、神奈川県、横浜・川崎にしぼっていて、ドミナント展開(特定の地域に集中的に出店すること)している。
いずれも人口密集地で、政令指定都市を含むエリアだ。人口減になりにくく、居住者の生活スタイルが一定しているため、店舗数を増やすことで安定した収益を確保しやすい構造になっている。
さらに特徴的なのは、出店の「近さ」である。まいばすけっとは、半径300~500メートルの至近距離で出店することも多く、物流効率を高めている。直営方式のため、コンビニのようにフランチャイズ間で競合するリスクもない。
そして近年では、マンションの1階やビルの1階への出店が目立つ。
エレベーターを降りてすぐの距離に店があり、住民にとっては“階下の冷蔵庫”のような存在だ。
この立地は、消費者の「買い置きしない」「必要なときに必要な分だけ買う」という行動様式と完全に同期している。







