何と言っても、チームにおいては信頼が鍵だ。信頼があるからこそ、チームはあえてリスクを冒すこともできる。信頼が必要なのは、チームのメンバーに正直になってもらうためでもある。

 問題があっても上司の目に触れないようにする社員が、あまりに多い。意見の相違や問題を率直に話してもよいという信頼感がないからだ。これはあらゆる組織にとって重大な問題だが、「恐れ」の文化がある組織にとっては、とりわけ大きな問題になる。

「この役職に就いて最も大変だったのは、社員が恐れずに話をしてくれなくなったことだ」と、米Ford Motor(フォード・モーター)CEOのジム・ファーリー氏は言う。

結果だけ求めるワンマンリーダーが
辞めたら事態が好転し始めた

 著者(バーワイズ)にはこんな経験がある。

 かつて、チームに対して「私には結果を見せてくれ、問題は見たくない」と言ったリーダーがいたが、彼をやめさせると、何もかもが好転し始めたのだ。

 トライブ(編集部注/仲間)のメンバーには、アイデアを出しイニシアチブを発揮してほしいと願うと同時に、問題が起こったときは相談するよう伝えておくべきだ。

 そうすれば、気がついたら大変なことになっていたという事態が起きにくく、またチームで解決策を早く見つけられる。

 あらゆる組織で、社員は上司の目から問題を隠そうとする。そして、上司は、どれぐらい隠されているかを実際より低く見積もりがちだ。かつて自分の上司に対して全く同じようにしていたにもかかわらず、その部分はあえて見ぬふりをするのだ。

 うまくいっている組織なら、そういうことはあまり起こらないが、問題のある組織ほど頻繁に起こる。

 信頼感と親密さがあり、メンバーが自分の弱みや問題をさらけ出せるような文化を育てることが欠かせない。マーケティングリーダーは、そうした文化を強化するために絶えず尽力する必要がある。信頼感がある雰囲気は自然に生まれるものではない。

 オープンで「信頼感のある文化」は、「業績を上げて責任を果たす文化」と完全に合致している。