1人で抱えすぎずに
地域の専門家を頼ろう

 親の見守りには、家族や親戚やご近所さんの「善意」だけでなく、公的制度もしっかり利用しましょう。とはいえ、待っているだけでは誰も助けてくれません。介護保険にしても、自治体のサービスにしても、すべては申請制。申請した人だけが恩恵を受けられるしくみなのです

「どこに何を相談すればいいかわからない」という場合には、親の住む地域の地域包括支援センターを頼りましょう。ここは65歳以上の高齢者の「よろず相談窓口」ともいえる場所。介護や介護予防はもちろん、詐欺や犯罪、虐待などの相談窓口にもなっています。家族からの相談にも応じてくれますから、親の担当地域の地域包括支援センターを調べて連絡してみましょう。

 そのほか、高齢者福祉の専門家集団といえば社会福祉協議会です。ボランティアの依頼も可能。認知症の相談なら、病院だけでなく保健センターや保健所で対応してもらえることが。地域の民生委員が、ひとり暮らしの高齢者の見守りをしてくれることもあります。

 つい「家族のことは家族で」と思いがちですが、サポートしてくれる多くの「地域資源」があることをお忘れなく。

親の介護は親自身のお金で
済ませるのが大前提

 親の介護にかかる費用が、いくら必要なのかは重大な問題。

「十分な介護のために足りないお金は、自分が払うしかないのでは」と不安になるかもしれませんが、介護は親の年金と資産の範囲でまかなうのが大前提です。

 ですから「介護にいくらかかるのか」ではなく、「いくらまでなら、費用をかけられるのか」と考えて。

 とはいえ、世の中の相場は知っておきたいものです。生命保険文化センターの調査によると、介護期間の平均は55カ月(4年半)。

 毎月の平均介護費用は約9万円。初期費用(一時的な費用)をプラスした総介護費用の平均は約540万円になります。平均介護期間だと、1年間に100万円以上かかる計算です。

 ただし、これはあくまで平均値。実際には、高額をポンと出せる人と、できるかぎり出金を抑えている人がいます。