施設に入る場合も同じですが、入所一時金が必要なら、「手持ちの金融資産」からその費用を引いて計算しましょう。たとえば下図の80歳の女性の場合、入所一時金が1000万円の施設に入ると、月額利用料の上限は約14万円になります。

 もしも「親は元気だし、もう少し長生きしそう」と思うのなら、平均余命プラス10年で計算したいものです。想定より長生きをして資金不足に陥り、転居せざるをえなくなるケースは少なくないのです。

図表:親が1カ月に使える額を算出同書より転載 拡大画像表示

施設の利用料が払えないと
施設退去なんて末路も…

 親の施設を選ぶとき、「少しでもいいところに」と思うのは自然なこと。自分でめんどうを見ない罪悪感もあります。

 だからこそ「月々数万円の援助ならしよう」と考えがちですが、それはやめておきましょう。施設の費用は物価上昇に合わせて値上がりします。最初は1万~2万円のつもりが、3万円、4万円と上がっていくことが多いもの。

 子どもだって自分の老後資金を貯める時期。せっかく慣れた施設を「お金が払えない」と退去させないためにも、身の丈に合う施設を選びたいものです。

年金の範囲内で入所できる
安価な老人ホームも増加中

「施設に入所するとお金がかかる」というイメージをもっている人は多いかもしれませんが、この10年ほどで有料老人ホームやサ高住が増え、価格帯もさまざまになりました。地方であれば年金の範囲内で入所できる有料老人ホームも増えています

「施設に入れるお金がない!」という場合、特養(特別養護老人ホーム)が第1選択肢になるかもしれません。特養などの介護保険施設は、所得が少ない人に手厚い補助があります